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バクテリアなどの微生物を利用して、宇宙空間や月、あるいは火星での生活をよりサステナブルにする新たな方法を科学者が研究している。エネルギーの生成や採掘、さらには製薬など、あらゆる活動に微生物を活用するものだ。
国際宇宙ステーションでのバイオマイニング実験に使用された細菌の蛍光顕微鏡画像
提供:ESA
国際的な研究チームが現地時間3月21日に英国の学術誌で公開した新しい論文によれば、微生物を活用した宇宙技術で、住宅や車に電力を供給したり、気候変動の影響を和らげたりできるようになる可能性があるという。また、将来の住宅建築でこの技術が一定の役割を果たしてくれるかもしれない。
学術誌「Nature Communications」に掲載されたこの新しい論文の筆頭著者Rosa Santomartino氏は、米CNETの取材に対し、次のように語った。「微生物は実に驚くべき存在であり、地球上でわれわれのために多くの仕事をしてくれている。ところが、われわれはそのことに気づいてさえいないことが多い」「微生物は、例えばインスリンや抗生物質を製造するために製薬業界で広く活用されているほか、鉱物から金属を溶出する目的で利用されたり、最近では微生物を使って構造物を作る取り組みが行われたりしている」
Santomartino氏は、エジンバラ大学にある英国宇宙生物学センターの研究者だ。同氏によれば、このような目的で微生物を活用するには最小限のインフラしか必要ないため、従来のやり方に比べて経済的で、環境に与える影響も少ないという。そのため、複雑で資源の乏しい宇宙環境に持ち込むのに最適というわけだ。
宇宙では、現地で手に入る資源を利用(ISRU:In-Situ Useful resource Utilization)し、可能な限りリサイクルすることが不可欠だ。研究者らは、微生物が宇宙だけでなく地球上においても、持続可能性の「ループを完成」させるのに役立つと主張する。
「それらを地球に応用すれば、効率的かつ環境にやさしいエネルギー生産とリサイクルによって、循環型経済が強化される」(Santomartino氏)
この数十年で、宇宙における難問を解決するための技術開発は、地球に住む数十億の人間にも恩恵をもたらすようになっている。現代社会は衛星技術に大きく依存しているが、これはそもそも商業利用されるはるか以前に、軍事および研究目的で開発されたのが始まりだ。
今回の研究では、廃棄物の処理や再利用、食品および医薬品生産に微生物が果たす役割について論じ、さらには「バイオマイニング」と呼ばれるプロセスに注目している。月面および火星の岩石や表面物質(レゴリス)を微生物が分解することで、ケイ素や鉄、アルミニウムのほか、水や酸素、燃料となる水素を手に入れる技術だ。
また電気発生微生物と呼ばれる特定の微生物は、食物もしくは人間の排泄物から電流を発生させることができる。
つまり、宇宙探査を可能にする技術は、われわれの排泄物でデバイスを充電するイノベーションをもたらす可能性も秘めているのだ。
「非常に困難で過酷な宇宙環境において、これ(とその他すべてのプロセス)を非常に効率的に用いることができるなら、地球環境への応用は比較的簡単に実現できるかもしれない」とSantomartino氏は述べている。
この記事は海外Red Ventures発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。
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